T-4 生化学実験に用いる単位と量(演習)
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※ マニュアル本文(黒字)は学生に配布するマニュアル本文の内容です。
※ 解説(青字)は、私が実験指導中に口頭で伝えた内容を文章化しました。主に実験前の説明で解説することを前提にしています。マニュアルには記述してない、非常に重要な内容を含みます。解説がこのホームページの中心と考えています。これから実験を学ぶ学生に特に読んでいただきたいと希望しています
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マニュアル本文

 付:モル、モル濃度
  @モル(mole,mol):
 体積に関係なく、例えばフラスコや試験管の中に存在するある物質の量を表わす。
 分子量にグラムをつけた質量だけの量として定義される。

 解説:<さあモルデビューです>
 これでわかりますか?日本語で書いてありますけどね。私にはさっぱりわかりませんでした。SI基本単位のうちモルは日常生活では全く使用しませんが、バイオ実験も含めた化学系実験では頻繁に使用する重要な単位です。このため、ここで特にモルの第一回目の説明をします。
 今後モルが出てくるときはいきなり実戦的な話になるので、モルとは何かの概略をここで覚えてください。
 解説:<モルを理解するには日常生活とはかけ離れた感覚が必要だ>
 話は少し変わりますが、あなたは自分の目で直に酸素1分子を見たことありますか?炭素1分子は?。それじゃブドウ糖1分子はどうですか?そう、見えるわけ無いのです。今後さらに科学技術が発達すれば、電子顕微鏡みたいなものを使って見えるようになるでしょうけど、直に自分の目でみることはできませんね。小さすぎますから。モルはこの分子を扱います。だから日常生活で出てくるわけないのでピンとこないのはあたりまえです。
 解説:<モルは分子を扱う>
 モルは、存在はしても目で見ることができない分子ってやつを扱うのです。上の文章のうち「ある物質の量」の「物質」って、この分子のことだと考えてもいいでしょう。
 分子の姿はだいたいこんなもんだろうということはわかっています。だからそれを頭の中で想像して、見たつもりになってもいいのですが、分子の種類によって当然大きさが違うので、かえってややこしくなっちゃうかも!なのです。
 解説:<モルは10の23乗個という非日常的な量を扱う>
 さらにもう一つ、「ある物質の量」のうち、「量」についてです。この「量」がまたややこしい。日常生活ではとても経験できない数値です。基準になる1モルは、6.02・・・×1023個という「量」なんです。これが日常生活の中で体験できたことってありますか?
 1億円(100,000,000円=1×10円)欲しいですね。でも、これでも10(10の8乗)です。1023(10の23乗)なんてピンとくるわけないのです。
 私はものずきだから1×1023を書いてみましょう。
 100,000,000,000,000,000,000,000
です。出てくるのは、さらにこれの6.02・・・倍ですからね。この数値はアボガドロ数(Avogadro数)という別名をもった数値ですが、詳しい定義は化学屋さんにまかせましょう。ここでは今後この数を省略して6×1023と表します。
 さあ、モルが他の単位と違って、なぜ馴染みがないのかわかりましたか?
 とてつもなく小さい分子を扱って、さらにとてつもなく大きな6×1023という数値が出てくるわけですから当たり前です。
 この段階では、「モルが対象にしているのがとてつもなく小さな分子だ」ってことと、「モルが関係する量がとてつもなく大きな6×1023という数値だ」ってことを知っておいてください。だから実感はわきにくいですよね。日常の生活では絶対に体験できません。じゃどうすれば良いんでしょうか。さあ次です。

 化学大事典では、「物質の分子量に等しいグラム数の物質の量を1モルという」と表現している。すなわち、モルを考えるときは必ず分子量を考えなければならない(実用上非常に重要)。

 解説:<モルが出てきたらすぐに対象分子の分子量を調べる>
 モルを考える上で、まず最初に覚えることは「モルが出てきたら、すぐにその分子の分子量を調べなさい」です。 え!、分子量、これもなんか聞いたことがある・・・分子量だの原子量だの式量だの言葉は聞いたことあるけど・・・なんかめんどくせ〜!!  そう、でもダメです。この世界(化学がちょっとだけ関係するバイオの世界)にいる限り、分子量を調べるのが面倒だとわめいていたら、1歳前後の赤ちゃんが歩くのめんどくせーから歩かない!!とわめいているのと同じです。ダメです。
 分子量って何?、原子量と何が違うの!!バイオ屋の世界では、そんなことあんまり気にしなくていいです。少なくとも私は詳しくは知りませんし、知りたくもありません。分子量の定義なんて難しいことは化学屋さんにまかせましょう。
 ではどうすればよいでしょうか。
 解説:<分子量を知るには>
 モルを考えるためにはまず絶対に分子量を知らなくてはなりません。分子量は、「対象となる分子の化学式」がわかれば簡単に算出できます。そうです、化学式から自分で算出するのです。ただし、ただの足し算とかけ算だけです。足し算とかけ算、できない人いますか?
 じゃ残る問題は「対象となる分子の化学式」ですね!
 「対象となる分子の化学式」って、たとえば、「塩化ナトリウムの1モル溶液を作る」場合、塩化ナトリウムが対象で、化学式はNaClです。塩化ナトリウムの化学式がなぜNaClなんだ??という人はさすがに少ないと思いますが、じゃ、「リン酸水素2ナトリウムの化学式」なんて出てきたら、今度はそのままNaHPOとすぐわかる人は少ないでしょう。現実にはもう一つ問題があります。たとえば、このリン酸水素2ナトリウムは、試薬として結晶の形で販売されてますが、販売されている形は4種類あるのです。結晶中に水分子が入り込んでいるものが3種類と、水が無いNaHPO(無水物)です。結晶中に水分子が入り込んでる3種類は、それぞれ、NaHPO1分子に水分子が2分子、7分子、12分子入り込んでいる結晶です。なんだそれ???わけわからん・・・・。そうです、今はわけが判らなくてOKです。
 ここで必要なことは、指示書に塩化ナトリウムと書いてあったとき、これがNaClであるとわかることです。じゃ、リン酸水素2ナトリウムと書いてあったらどうすればよいでしょうか。
 あなたが、人に聞くことができる環境にいるなら、聞けば良いでしょう。聞けない場合は自分で調べます。
 調べ方はいろいろとありますが、現在の環境ではネットの検索エンジンで対象となる分子の名前を入れれば、化学式として出てきますから、これが最も楽でしょうね。ネット以外の方法は、化学辞典、理化学辞典、生化学辞典などの辞典類で調べることです。また、意外と楽なのが、試薬メーカーが学校に配布している分厚い試薬カタログです。ただ試薬カタログの検索は英語表記になっているので、後ろに載せてある日本語の索引で掲載ページを調べます。これらの方法の便利なところは、物質の化学式がわかるだけでなく、目的である分子量が、たとえば「Mw.○○○.○○」などと書いてあるので、そのまま判ることです。これでおしまい。分子量が判ります。要は、どんな方法でも自分で調べれば、分子の化学式と分子量はすぐわかります。
 解説:<分子量の計算方法>

 化学式はわかるけど、分子量がわからない場合
 計算しなければならない、かけ算と足し算ということでしたね。
@ まず化学式を確認します。前出のリン酸水素2ナトリウムを例に考えてみます。(ここでは、前に出した結晶に含まれる水分子は考えずに計算します)
 化学式は「NaHPO」です。ということは、ナトリウムが2つ(Na)、水素が1つ(H)、リンが1つ(P)、酸素が4つ(O)から成っていることを示しています。
 つまり、Na×2 + H + P + O×4 です。
 まず化学式がこういう意味だってことを覚えてください。
 ここまでわかりましたか?
A 次に、調べることがあります。
 化学式に出演してきたナトリウム、水素、リン、酸素の原子量を調べます。えぇ〜・・・わかんない・・・となる必要はありません。原子量なんて単語がいきなり出てきたので、また?????となるかもですが、実際にやることは簡単です。
 次の表を見てください。そして、この表からそれぞれの原子量の値を探してください。


 この表の赤字と青字の元素名(日本語のみ)と元素記号はそのうちに覚える必要がありますが、余裕がある人は原子量も覚えてしまいましょう。もちろん覚えなくても、この表を印刷して手元に置き、必要な時見れば良いわけです。バイオの実験では赤字、青字の元素がよく出てきます。黒太字は時々出てくる程度です。つまり、10種類程度を覚えておけば十分です。いかがですか、高校の化学と違って楽でしょ!!
Bここまでできれば次は一番簡単です。だって足し算とかけ算だけですからね。100円ショップでも売っている電卓を準備してください。
 @で化学式の意味がわかりましたね?・・・もしわからない人がいたら、すぐに@に戻ってもう一度読んでください。
 Aで出演してくる原子の原子量がわかりましたね。
 あとはわかりますよね。これでおしまいです。
 でも念のために@で説明したリン酸水素2ナトリウムを使って計算してみましょう。
 「NaHPO」つまり、Na×2 + H + P + O×4 でしたね。
だから
 Na(原子量は22.99)×2 → 22.99×2=45.98
 H(原子量は1.008) → 1.008
 P(原子量は30.97) → 30.97
 O(原子量は16.00)×4 → 16.00×4=64.00
なので、
 45.98+1.008+30.97+64.00=141.958
となり、「NaHPO」という分子の分子量は141.958と計算できました。
 足し算とかけ算だけですね!!
 対象となる分子の化学式とその意味、そして出演している各原子の原子量がわかれば簡単ですね。
 さあ、Aの表を印刷していつでも見えるように手元に置いておきましょう。これで分子量計算は簡単になりましたね。

 解説:<計算の桁数をどうしよう?計算の正確さをどのように考えるのか>
 分子量の計算をしたら、141.958と出てきました。ここで本当は??・・・??っとなる人がいると思います。だって、水素の原子量が小数点以下3桁で、他の原子量は小数点以下2桁ですね。上の計算ではこれを単純に足しましたね。本当にこれでいいの??
 たぶんわかってる人やうるさ型の先生たちは、何だこれ・・・だめだ。となるでしょう。
 でも、著者は、この段階ではこれで良いとしておきます。だって、実際のバイオ実験では、よほど厳密な重量管理を必要とする実験以外は、「これは間違いだ」と指摘する「やつ」は、実際を知らない「やつ」だからです。ばかばかしいからそんな「やつ」は著者は相手にしたくありません。実験実技として重量測定誤差や生物試料の個体差を考えると、重箱の隅をつついてることに気づかないかわいそうな「やつ」です。重箱の隅の問題はこれから先、少しずつ覚えればいいのです。それより、ここではモル計算に絶対に必要な分子量の計算ができるようになることです。
 だけど、すこし余裕のある人はここで覚えておいてください。
 Aで示した表は日本化学会の原子量委員会が実際に出している数値です。全ての原子量を4桁で表示しています。だから、小数点以下が水素は3桁でその他は2桁表示になってしまいます。つまり、水素以外は小数点以下3桁目が表示されてないので3桁目は無意味な数値になりますね。なのに得られた数値は水素の原子量の影響から小数点以下3桁目が存在しますね。これ、3桁目はあまり意味無いですよね。だから、上で計算した数値の小数点以下3桁目は無意味になります。
 じゃどうすればいいか、まあ、普通は水素を他の原子の小数点以下の桁数に合わせて1.008→1.01のように四捨五入して小数点以下の数値を合わせて計算する方法をとります。
 したがって、分子量の数値は、141.96となります。だけど、この数値だってどこまで正しいのか・・・とまた重箱の隅をつつきたくなることでしょう。実際のバイオ実験では、こんな重箱の隅をつつくより、試料として使用する生物の細胞の差の影響の方がよほど大きいですからね。
 解説:<物質の分子量に等しいグラム数の物質の量を1モルという>
 分子量は何とかなりそうですか?もし自信がなければもう一度戻って分子量を理解してください。
分子量がわかったことにして話を続けましょう。
 「物質の分子量に等しいグラム数の物質の量」って、どういうことでしょうか。これが1モルなんですね。
 さあ、「物質の分子量に等しい」とは、例を挙げて考えてみましょう。
まず塩化ナトリウムを考えましょう。塩化ナトリウムは化学式がNaClです。なれてない人は上の表を使って確認してください。ナトリウム(Na)の原子量は22.99、塩素(Cl)の原子量は35.45ですね。だから、分子量は22.99+35.45=58.44より58.44ですね。
つまり物質の分子量58.44に等しい「グラム数の物質の量」ですね。
 分子量は58.44で、これに等しいグラム数ですから、58.44gですね。
 繰り返しますが、
 物質(とはNaClですね)の分子量(とは58.44ですね)に等しいグラム数(とは58.44gですね)の物質の量(つまりNaClが58.44gという量)が1モルなんですね。
 さあ、NaClが1モルで58.44gということですね。
 これをさらに広げると、前に出てきた
 「リン酸水素2ナトリウムの1モル」は、分子量である141.96にグラムを付けた量なので
 「リン酸水素ナトリウム1モルは141.96g」ということですね。これは重要ですよ。だって、1モルの重さがわかったわけですから。
 でもこれだけだと、「で、なんなのさ???}となりますね。

 1モル = 6×1023分子(Avogadro数) = 分子量にグラムをつけた質量だけの量
    アボガドロ数:1モル(1グラム分子)の純物質中に存在する分子の数。

 解説:<ある物質の分子量が違えば、1モルつまり6×1023個の重さも違う>
 「で、なんなのさ???」の続きです。
 NaClは1モルで58.44g。で、大切なことは、この58.44gの中にNaCl分子が6×1023個入っている。ということです。
 つまり、
 58.44g(分子量にグラムを付けた質量)のNaClは分子の数が6×1023個だということ。
 だから、NaHPO(分子量141.96)が141.96gあればこの分子の数は6×1023個です。分子量相当のグラム数でその分子が6×1023個なのです。
 これが「で、なんなのさ???」の答えです。1モルって分子の数のことなんですね。
 それも、6×1023個という非日常的な数なんです。
 分子によって当然大きさが違います。で、物質の分子量が大きいと当然6×1023個集めればその分重くなるわけですね。

 ※モル、mole,molとは、物質の量を表わす。
     例えばビール瓶1ダースは、ビール瓶が12本のこと。
     同様に、1モルとは、分子の数が6×1023個のこと。

 解説:<モルという単位は、単に物質がいくつあるかだけの意味で、容積に関係ない>
 さあ、やっと本題です。もう一度はじめの文章に戻ります。
 モルとは「体積に関係なく、存在するある物質の量を表わす」でした。
 まず、体積は関係ないんですね。ある物質が、どれだけあるかだけが問題になります。だから、ある物質が全宇宙にちらばっていても、容積100mlのビーカーに存在していてもいいわけです。
 「ある物質が全宇宙に何モルある」「このビーカーの中にある物質が何モル入っている」 という表現になります。
 ビール瓶が12本あります。その12本がビールケースにきっちり入っていても、貴方の部屋の中にばらばらにおいてあっても、どちらも1ダースですよね。これと同じです(未成年はビール飲めないよ!)。

  ※「1モルの重さ」は分子量にグラムをつけた質量だけの重さのこと。

例;@グルコース(ブドウ糖 C12)の場合、分子量が180であることから、
 グルコース1モルの重さは180gとなる。

    当然、グルコース180g中のグルコースの分子数は6×1023個である。
  Aタンパク質の一種であるアルブミンの場合、分子量が68000であることから、 アルブミン1モルの重さは68000gすなわち68kgとなる。
    当然、アルブミン68kg中のアルブミン分子数は6×1023個である。
※ある分子6×1023個の重さは、その分子の分子量+gである。

  Aモル濃度(mol/l ):
 単位体積の溶液中に存在する物質の量で、物質の濃度を示す。
  1モル濃度溶液は、1g中にその化合物1モル含む溶液である。
 1モル濃度 = 1gの溶液中に、1モルの化合物が溶けている濃度
 mol/lは、これまでM(ラージエム)という記号で表わしてきたが、SI単位系ではmol/lである。

 解説:<モル濃度(mol/l)って何? モル(mol)と何が違うの?>
 さあ、もう一つ。今度はモルの次に濃度が付いてます。モルの単位はmolまたはmoleでしたね。
 モル濃度の単位はmol/lです。モルとモル濃度、単位を見るとモル濃度は「/l」が付いてる点がモルと違いますね。この「/l」って一体なんでしょう?。
 「/l」の「/」は、前 (「T1-3 計量器の操作」の 4−1:メスフラスコの取り扱いに慣れよう 【参考】g/cmの意味を知る上で丸暗記すること B:)に出てきましたね。
「/」は割り算のマークでしたね。そうして、「 / 」の前に書いてあることを「 / 」の後ろに書いてあることで割るということでしたね。
 mol/lという単位では、mol(モル)をl(リットル)で割るってことですね。
 ここで思い出して欲しいのは、l(リットル)の前に1が付いており、この1を省略してあるということです。
 さあ、とすると、この「mol/l」とは「1リットルあたり何モルか」ということですね。わからなければもう一度前の説明 (「T1-3 計量器の操作」の 4−1:メスフラスコの取り扱いに慣れよう 【参考】g/cmの意味を知る上で丸暗記すること B:)を読み直してください。
 モル濃度とモルの違いは、モルは体積に関係なく、物質の量だけを問題にしてましたが、モル濃度は,「/l」が付いてますから、「1リットルあたりで何モルか」という意味になりますね。
 解説:<モルとモル濃度の実例>

 さあ、少し実例を挙げてみます。
 「1モル のNaClがあります。」
 この意味は、NaCl分子が6×1023個、すなわち重さにすると58.44gあるということで、NaCl58.44gが台所の塩を入れる容器に入っていても、水泳用の50mプールの水全体に溶けていても、どうでもよくて、なにしろ全部で58.44gつまり6×1023個存在するという意味ですね。
 では次、
 「1モル濃度 のNaCl溶液があります」
 この意味は何でしょうか?
 今度はモル濃度ですね。だから「1リットルあたり1モルのNaClを含む溶液」となりますね。
 つまり、1リットルのNaClを含む溶液があります。この溶液1リットル中にNaClが58.44gすなわち6×1023個含まれているという意味です。でも、私の経験では、かなりの学生が初めのうちよく分からなかったようです。それは、1リットル中に58.44g含まれているのであって、「この溶液が1リットルある」とはどこにも書いてないということです!!
 モル濃度の大事なところは、「もしこの溶液が1リットルあったらその中に6×1023個のNaCl分子が含まれている」のであって、1モル濃度のNaCl溶液が500mlであっても、2000リットルであっても、50mプールに入っていても、そのうちの1リットルとればNaClが1モル含まれるということです。
 だから、もし1モル濃度のNaCl溶液が500mlあったら、500ml中にNaCl分子が3×1023個つまり1モルの半分存在するはずで、3×1023個は0.5モル(1/2モル)ですから、別の表し方をすれば、0.5mol/500ml となります。さらに念を押しますが、0.1mol/100mlも、0.5mol/500mlも、1mol/lも、2mol/2lも、5mol/5lも全部全く同じ意味ですよ!。「/l」という意味は非常に大切です。正確に理解してください。

 解説:<mol/lを、以前はM(ラージエム)と表していました>
 mol/lは、これまでM(ラージエム)という記号で表わしてきました。しかしSI単位系になってからはmol/lで表されています。あなた方が会社や研究所に入って、モル濃度をMと表している上司がいても、決して驚かないでください。以前は確かにモル濃度をMで表していました。今は正式には使われなくなっただけですからね。