T-5 溶液の調製1
(その5

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※ マニュアル本文(黒字)は学生に配布するマニュアル本文の内容です。
※ 解説(青字)は、私が実験指導中に口頭で伝えた内容を文章化しました。主に実験前の説明で解説することを前提にしています。マニュアルには記述してない、非常に重要な内容を含みます。解説がこのホームページの中心と考えています。これから実験を学ぶ学生に特に読んでいただきたいと希望しています
※ まとまったマニュアル本文は、「マニュアル本文
をクリックすると表示されます。

 2):担当教員の指示に従って提示し、点検を受け、必要に応じて訂正して再提出する。
(これは、提示するかどうかから実験指導者の指示に従ってください。全員で手順や計算結果を検討する場合もあります)
 解説:<実験当日朝、自分で作った実験ノートの内容の確認>
 前の1)は実験日の前日までにやっておくべきことですね。2)〜4)は実験当日に行うことです。 当日、すでに作り上げてあるそれぞれの実験ノートの内容について、点検訂正するための時間です。
 教員に余裕があれば全員の実験ノートを本人とともに確認します。本来この方法が最も良く、各個人のノートの作り方から個人の実力を見ることが出来ます。しかし、20人から30人のノートを短時間で見ることが難しい場合は、複数の代表に、作成した内容を黒板に記述してもらうなどの手段を使って、添削をして全員の操作手順と計算結果を一致させてました。このとき、計算結果の正解は当然1つですが、操作手順についてはいくつもの正解がありますので、これも確認してそれぞれの正解は残します。


 3):合格したら作成したマニュアルに従って班単位でそれぞれの試薬の調製を開始する。
 班員間でそれぞれ話し合い、例えばaとeとc、bとdとfなど担当を決め、一人が3種類の溶液を責任を持って調製する。ただし、実験ノートに作成するマニュアルは全員がa〜fを全て作成する。
 解説:<班員一人一人が必ず%(w/w)、%(w/v)、mol/lの3種類を作る>
 班が何人で構成されているかによりますが、各個人が必ずaまたはd、bまたはeおよびcまたはfの異なる3種類を必ず調製することが望ましい。これによって%(w/w)、%(w/v)、mol/lの3種類を作ることができます。今回生まれて初めて溶液を調製するので、できるだけ色々な作り方を覚え、体験する必要があります。
 解説:<実験中、わからないことがあったら!>
 操作中にわからないことがあったら?。学生間で相談すると、かなりの確率で間違えます。必ず教員に質問してください。なぜなら、相談する相手の学生も初めてまたは、それに近いので、正しい操作を知っているはずが無いからです。学生の間で実験経験者がいても、正しい答えが返ってくるとは限りません。前に書いたように、化学実験を体験してきたはずの大学院生でも、きちんと操作できない人がたくさんいるという事実を忘れずに!

 

 4):調製した溶液はポリの保存瓶に保存する。なお、保存する瓶には指示に従って

内容(濃度・試薬名)
調製日
調製者名
班名

を必ず記入しなければならない。

 解説:<調製した溶液の内容表示>
 調製した溶液を保存するとき考えなければならないことがたくさんありますが、ここでは内容の表示についてきちんと考えておきましょう。調製した試薬は永遠に保存するものでしょうか。使用が済めば、もし余っていればさらに保存するか、処分するか選択します。処分する場合、内容がわからないとどのように処分して良いかわかりません。また、さらに保存する場合、内容(濃度・試薬名)が書いてないと次に使用するときもっとわかりませんね。
 保存してある溶液、いつの間にか長期間棚に置きっぱなしなんてよくあります。溶液は保存すると変質してしまうものがほとんどです。とすると、いつ調製したかが非常に大切になりますね。
 この試薬、使いたいけど、誰が作ったものかわからないと使えません。また、事情が変わって処分して欲しいとき、誰に言えば良いかわかりません。また、調製者名があれば「調製者は誰だからこの試薬は信用できるから使おう」、なんてドライな判断をすることもあります。
 上の記入項目は、保存する上で非常に大切な基本情報ですから、絶対に記入しておきます。数ヶ月後、数年後、実験室を使う人が処分方法がわからずに迷惑をすることがよくあります。あなたが今後調製する全ての試薬に必ず忘れずに上記項目を記入しましょう。

 <参考>
 1:%濃度でも、w/wとw/vは異なる。意味の上で何が異なるかをしっかり理解すること。
 2:mol/l表示は、一定の容積に含まれる各分子の数を規定している。したがって、一般に、より正確に調製する必要がある場合が多い。
 3:要求される正確さに伴って、用いる測容器は、その精度も考慮して選択して使用する必要がある。