T-5 溶液の調製1
(その4−2

操作手順作成2

 このページの使い方
※ マニュアル本文(黒字)は学生に配布するマニュアル本文の内容です。
※ 解説(青字)は、私が実験指導中に口頭で伝えた内容を文章化しました。主に実験前の説明で解説することを前提にしています。マニュアルには記述してない、非常に重要な内容を含みます。解説がこのホームページの中心と考えています。これから実験を学ぶ学生に特に読んでいただきたいと希望しています
※ まとまったマニュアル本文は、「マニュアル本文
をクリックすると表示されます。

 b:3%(w/v) NaCl溶液を100ml調製するための操作手順(マニュアル)を詳細に記載し、操作に必要な試薬と器具名を割り出して、まとめて記載する。


 解説:<実験手順のフローチャート図をつくり、頭の中で実験して使う器具を考える>

 使用する器具を考えるためには、前と同じように操作手順を考えましょう。まず溶質濃度が3%ですからNaClを3g取ります。次に取った溶質を水を加えて溶かし、さらに水を加えて100mlにしますから100mlにするための方法と使用器具。あとは前と同じ考え方で良いでしょう。またフローチャートを作ります。

 @ 100ml容ビーカー(重量測定済み・天秤上)

 ※100mlの反応容器
 ※電子天秤

 ここはa)と全く同じですね。
 A  ↓+3gNaCl
  実験台上に移動

 ※NaCl 3g以上
 ※薬餌 1本

 ここもa)と同じですね。
 B  ↓+少量の水
  撹拌溶解

 ※水 30ml程度以上
 ※撹拌棒 1本

 ここもa)と同じですね。
 C ↓
 100mlにするための測容器に移す
  (今回は100ml容メスシリンダー)

 ※100ml容メスシリンダー
 ※水、溶解に使用した水を用いる。量はビーカー壁と撹拌棒に付着したNaClを洗い込むための量。
 ※100ml容ビーカー(洗い込みおよび100gへメスアップするための水を入れる) 1個
 ※駒込ピペット(または同等品+スポイト) 1組
 ※ピペットホルダー 1台

 ここからaの操作と全く異なることになりますね。
 3gNaClを少量の水で溶解後、100ml容メスシリンダーに移す。このとき、撹拌に用いた撹拌棒を、溶解した水溶液をビーカーからメスシリンダーにこぼさないように移すときのガイドとして用いると便利です。少量の水で溶解した3gNaClがメスシリンダーに移りましたが、撹拌溶解に用いた100ml容ビーカーと撹拌棒のガラス壁面には、例によって3gとして計量したNaCl分子が少量付着していますね。3gとして計量し、まだ一定量にしてないので、a)のBで解説したとおり、「洗い込み」が必要ですね。もし「洗い込み」が必要であることがわからない場合は、もう一度a)のBの解説に戻って確認してください。ビーカー壁と撹拌棒の表面を、駒込ピペットを用いて少量の水で3回以上メスシリンダー内に洗い込みます。
 D   ↓+水
 100mlに合わせる(駒込ピペット使用)
     ↓
    撹拌
     ↓
  保存瓶に移す

 ※水(100mlに合わせるために必要な量)
 ※撹拌棒 1本
 ※保存瓶 1本
 (※ロート 1個)

 ここではメスシリンダー内で、Cと同じ駒込ピペットを用いて正確に100mlにします。このとき、もし不注意で水の量が100mlの線を越えてしまったら、@から全くやり直しですから、十分注意する必要がありますよ。その他の手順と注意はaと同じです。
 【準備が必要な試薬と器具】
 ※100mlの反応容器(ビーカー)    2個
 ※電子天秤                              1台
 ※NaCl                3g以上
 ※薬餌                  1本
 ※水                 100ml以上
 ※撹拌棒                 2本
 ※駒込ピペット(または同等品+スポイト) 1組
 ※ピペットホルダー            1台
 ※100ml容メスシリンダー       1本
 ※保存瓶                 1本
(※ロート 1個)

 c:0.5mol/l NaCl溶液を100ml調製するための操作手順(マニュアル)を詳細に記載し、操作に必要な試薬と器具名を割り出して、まとめて記載する。

 解説:<実験手順のフローチャート図をつくり、頭の中で実験して使う器具を考える>

 使用する器具を考えましょう。前の計算のまとめでも考えた通り、操作手順は、使用するNaCl必要量が異なるだけで、手順は同じです。ただし、異なるところもあります。それはもう少し後で考えましょう。
 まず手順を確認してみましょう。
 計算結果から、溶質の量を決めれば、あとはbと全く同じ手順です。

 @ 100ml容ビーカー(重量測定済み・天秤上)

 ※100mlの反応容器
 ※電子天秤

 ここはaと全く同じですね。
 A   ↓+2.922gNaCl
  実験台上に移動

 ※NaCl 2.922g以上
 ※薬餌 1本

 ここは、NaClのはかり取り量が異なるだけで、操作はaと同じですね。
 B   ↓+少量の水
  撹拌溶解

 ※水 30ml程度以上
 ※撹拌棒 1本

 ここもaと同じですね。

 C   ↓
 100mlにするための測容器に移す
  (今回は100ml容メスフラスコ)

 ※100ml容メスフラスコ
 ※水、溶解に使用した水を用いる。量はビーカー壁と撹拌棒に付着したNaClを洗い込むための量。
 ※100ml容ビーカー(洗い込みおよび100gへメスアップするための水を入れる) 1個
 ※駒込ピペット(または同等品+スポイト) 1組
 ※ピペットホルダー 1台
 (※ロート 1個)

 ここからは、メスフラスコを使用する他はbの操作と同じですね。
 2.922gNaClを少量の水で溶解後、100ml容メスフラスコ移す。このとき、撹拌に用いた撹拌棒を、溶解した水溶液をビーカーからメスシリンダーにこぼさないように移すときのガイドとして用いると便利です。また、ロートを使用してもよいでしょう。少量の水で溶解した2.922gNaClをメスフラスコに移しましたが、撹拌溶解に用いた100ml容ビーカーと撹拌棒そしてもしロートを使用すればロートのガラス壁面には、2,922gとして計量したNaCl分子が少量付着していますね。
 2.922gとして計量し、まだ一定量にしてないので、aのBで解説したとおり、「洗い込み」が必要ですね。もし「洗い込み」が必要であることがわからない場合は、もう一度aのBの解説に戻って確認してください。ビーカー壁と撹拌棒(使用すればロートも)の表面を、駒込ピペットを用いて少量の水で3回以上メスシリンダー内に洗い込みます。

 D   ↓+水
 100mlに合わせる(駒込ピペット使用)
     ↓
    撹拌
     ↓
  保存瓶に移す

 ※水(100mlに合わせるために必要な量)
 ※撹拌棒 1本
 ※保存瓶 1本
 (※ロート 1個)

 ここではメスフラスコ内で、Cと同じ駒込ピペットを用いて正確に100mlにします。このとき、もし不注意で水の量が100mlの線を越えてしまったら、@から全くやり直しですから、十分注意する必要がありますよ。その他の手順と注意はaと同じです。
 【準備が必要な試薬と器具】
 ※100mlの反応容器(ビーカー)    2個
 ※電子天秤                1台
 ※NaCl                3g以上
 ※薬餌                  1本
 ※水                100ml以上
 ※撹拌棒                 2本
 ※駒込ピペット(または同等品+スポイト) 1組
 ※ピペットホルダー            1台
 ※100ml容メスフラスコ        1個
 ※保存瓶                 1本
(※ロート                 1個)
 解説:<メスシリンダーとメスフラスコ 溶液の調製と精度>
 今回、%(w/v)とmol/lを扱うbとe、cとfは、調製量を100mlにしました。ところが100mlに合わせる器具を%濃度はメスシリンダー、モル濃度はメスフラスコを指定して使用します。
 覚えてますか?メスシリンダーとメスフラスコの違いは、容量の正確さにあると説明しました。
 器具の形状を見ればわかる通り、メスシリンダーよりメスフラスコが正確ですね。
 ここで、なぜ同じ100mlに容量を合わせるために%濃度ではメスシリンダーを使い、モル濃度ではメスフラスコを使ったのでしょうか。溶質の計量には今回は同じ天秤を使用してますから、溶質量の精度は同じですね。では容積はどうでしょう。当然モル濃度の方が正確に作られることになりますね。
 モル濃度と%濃度の違いを考えてください。%濃度は溶質の重さを問題にしますが、モル濃度は分子の数を問題にしてますね。したがって、モル濃度で溶液を調製するときは、%濃度で溶液を調製するときより正確さを要求している場合が多いようです。使用する器具も、要求される正確さを考えて選択する必要があります。これは大切なことですから覚えておきましょう。

 d:5%(w/w) D-Glucose 溶液を100g調製するための操作手順(マニュアル)を詳細に記載し、操作に必要な試薬と器具名を割り出して、まとめて記載する。
 解説:<実験手順のフローチャート図をつくり、頭の中で実験して使う器具を考える>

 もうわかりますね。溶質を5g D-Glucoseに変えた他は、全てaと同じ手順です。したがって、必要な器具も全てaと同じです。

 【準備が必要な試薬と器具】
 ※100mlの反応容器(ビーカー)    2個
 ※電子天秤                1台
 ※Glucose             5g以上
 ※薬餌                  1本
 ※水                 100g以上
 ※撹拌棒                 2本
 ※駒込ピペット(または同等品+スポイト) 1組
 ※ピペットホルダー            1台
 ※保存瓶                 1本
(※ロート                 1個)

 e:5%(w/v) D-Glucose 溶液を100ml調製するための操作手順(マニュアル)を詳細に記載し、操作に必要な試薬と器具名を割り出して、まとめて記載する。

 解説:<実験手順のフローチャート図をつくり、頭の中で実験して使う器具を考える>

 これもわかりますね。溶質を5g D-Glucoseに変えた他は、全てbと同じ手順です。したがって、必要な器具も全てbと同じです。

 【準備が必要な試薬と器具】
 ※100mlの反応容器(ビーカー)    2個
 ※電子天秤                1台
 ※Glucose             5g以上
 ※薬餌                  1本
 ※水                 100ml以上
 ※撹拌棒                 2本
 ※駒込ピペット(または同等品+スポイト) 1組
 ※ピペットホルダー            1台
 ※100ml容メスシリンダー       1本
 ※保存瓶                 1本
(※ロート                 1個)

 f:0.5mol/l D-Glucose 溶液を100ml調製するための操作手順(マニュアル)を詳細に記載し、操作に必要な試薬と器具名を割り出して、まとめて記載する。
 解説:<実験手順のフローチャート図をつくり、頭の中で実験して使う器具を考える>

 これもそうですね。溶質を5g D-Glucoseに変えた他は、全てbと同じ手順です。したがって、必要な器具も全てbと同じです。

 【準備が必要な試薬と器具】
 ※100mlの反応容器(ビーカー)     2個
 ※電子天秤                 1台
 ※glucose              9.009g以上
 ※薬餌                   1本
 ※水                  100ml以上
 ※撹拌棒                  2本
 ※駒込ピペット(または同等品+スポイト)  1組
 ※ピペットホルダー             1台
 ※100ml容メスフラスコ
 ※保存瓶                  1本
(※ロート 1個)