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 T−5 溶液の調製1

 溶 液 の 調 製1
 多くの化学反応は溶液状態で行われる。溶液(solution)溶質(solute)溶媒(solvent)から成り立つ。その溶液の組成比または溶液中の溶質の量を表わすのが濃度(concentration)である。濃度の表示法にはパーセント濃度(percent concentration)モル濃度(molar concentration)とがある。

 濃度
 パーセント濃度
 重量パーセント:溶液100g中の溶質の量の百分率 %(w/w),wt%
 重量容量パーセント:溶液100ml中に含まれる溶質のグラム数 %(w/v),Wg/100ml

※重量容量%は重量/容積であり、溶液量と溶質量の測定単位が異なるため厳密には%とは言えない。しかし、含まれる溶質の量を、溶液の容量(ml)を測定することで特定できるという便利な点があり、また、実質的にはほとんど変わらない場合が多いため、よく使用される。
 モル濃度
 容量モル濃度:溶液1000ml中に含まれる溶質のモル数 mol/l, M
 重量モル濃度:溶媒1000gに対して溶解している溶質のモル数 mol/1000g

※バイオ実験では使われているのを見たことがありませんが。

 <目的>
 溶液の調製に習熟する。固形試薬の重量測定、溶解方法
 <器具>
 メスシリンダー、メスフラスコ(100ml)、メスピペット、ビーカー他
 <試薬>
 塩化ナトリウム(試薬特級)    NaCl
 D-グルコース(ブドウ糖)     CHO-(CHOH)-CHOH
 用いる各分子の分子量は下記記載の原子量を参照して計算しなさい。
 H:1.01  C:12.01  O:16.00  Na:22.99  Cl:35.45

 <操作1>
 a:3%(w/w) NaCl溶液を100g調製する。
 b:3%(w/v) NaCl溶液を100ml調製する。
 c:0.5mol/l NaCl溶液を100ml調製する。
 d:5%(w/w) D-Glucose 溶液を100g調製する。
 e:5%(w/v) D-Glucose 溶液を100ml調製する。
 f:0.5mol/l D-Glucose 溶液を100ml調製する。
 1):まず、溶液調製の前準備として各自準備したノートにマニュアルを作成する。
※なお、今回の操作では、用いる試薬の純度は100%と仮定して計算を行うことにする。
 ア):実験ノートにa〜f溶液調製に必要な溶質量の計算を行う。必ず自分の実験ノート上に計算の式をすべて記載し、計算結果を記録する。
 イ):実験ノートにa〜f溶液を調製するための操作手順(マニュアル)を詳細に記載し、操作に必要な試薬と器具名を割り出して、まとめて記載する。
 =このとき、aについてのア)とイ)、bについてのア)とイ)、cについてのア)とイ)、dについてのア)とイ)、eについてのア)とイ)、fについてのア)とイ)のように調製する溶液ごとにア)とイ)をまとめ、aについて見開き1ページの左側に記載したらノートはスペースの余裕を残して次の見開きページに改ページする。これによって、各溶液ごとに実際に試薬調製操作を行った結果を記載するためのスペースを確保する=
 2):担当教員の指示に従って提示し、点検を受け、必要に応じて訂正して再提出する。
(これは、提示するかどうかから実験指導者の指示に従ってください。全員で手順や計算結果を検討する場合もあります)
 3):合格したら作成したマニュアルに従って班単位でそれぞれの試薬の調製を開始する。
班員間でそれぞれ話し合い、班の人数を考えて担当を決めればよいが、好ましいのは、例えばaとeとc、bとdとfのように一人が3種類の溶液を責任を持って調製する。ただし、実験ノートに作成するマニュアルは全員がa〜fを全て作成する。
 4):調製した溶液はポリの保存瓶に保存する。なお、保存する瓶には指示に従って内容(濃度・試薬名)、調製日、調製者名、班名を必ず記入しなければならない。
 <参考>
 1:%濃度でも、w/wとw/vは異なる。意味の上で何が異なるかをしっかり理解すること。
 2:mol/l表示は、一定の容積に含まれる各分子の数を規定している。したがって、一般により正確に調製する必要がある場合が多い。
 3:これに伴って、用いる測容器は、その精度も考慮して選択して使用する必要がある。

 <操作2>
 操作1で調製した溶液を用いて次の各濃度の溶液を調製する。
 A:1%(w/w) NaCl溶液を30g調製する。
 B:1%(w/v) NaCl溶液を30ml調製する。
 C:0.1mol/l NaCl溶液を25ml調製する。
 D:1%(w/w) D-Glucose 溶液を5g調製する。
 E:1%(w/v) D-Glucose 溶液を5ml調製する。
 F:0.1mol/l D-Glucose 溶液を5ml調製する。
 1):まず、<操作1>と同様に前準備のために実験ノートにマニュアルを作成する。
 ウ):A〜F溶液を調製するためには,操作1で調製したa〜fの溶液のうち、どれを使えばよいかを考え、実施可能な方法を選択し、必ず自分の実験ノート上に計算の式をすべて記載し、計算結果を記録する。
 エ):実験ノートにA〜F溶液を調製するための操作手順(マニュアル)を詳細に記載し、操作に必要な試薬と器具名を割り出して、まとめて記載する。
 =ノートへの記載方法は操作1の1)と同じく各試薬ごとにウ)とエ)をまとめて見開き1ページを使用する
 2):担当教員の指示に従って提示し、点検を受け、必要に応じて訂正して再提出する。
(これは、提示するかどうかから実験指導者の指示に従ってください。全員で手順や計算結果を検討する場合もあります)
 3):合格したら作成したマニュアルに従って班単位でそれぞれの試薬の調製を開始する。各自が実験ノートにA〜Fすべてのマニュアルを作成し。班員全員がA〜Fの全種類を調製する。
※調製した溶液は保存する必要ない。
 調製し、保存したa〜fおよびA〜Fは、教員の指示に従って廃棄し、使用したガラス器具類や保存瓶などはすべて実験施設の方法に従って洗浄する。

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