実験室は常に整理整頓し、清潔にしておかなければならない。
実験室は危険を伴う場所であることを認識し、気をひき締めて行動する。
1:基本マナー
授業であるから礼儀をわきまえる。
実験室は多くの人が共通で使用するので、ルールを守ること。
2:実験態度
実験中は関係のない私語はしない。
他人に予測できない急な行動は、危険が伴うために絶対に行わないこと。
実験室内で走ってはならない。
実験室内で大声や大きな音をたてない。
実験は常に危険を伴うものと考える。しかし、注意すれば避けられるものであり、こわごわと操作する方が危険である場合が多い。
実験室内では飲食は厳禁である。
実験室に漫画等実験に関係ない書物やウォークマンなどを持ち込んで使用したり、雑談したりしないこと。
携帯電話などは集中力を阻害し、周りも危険であるから持ち込まない。
3:実験室内での服装等
実験室では実験衣(白衣)を着用し、実験室履きで入室する。
白衣を着用する際、まず身軽な服装に整えてから白衣を着用すること。
厚手の上着などを着た上に白衣を着用すると、行動しにくくなり危険である。
白衣および実験室履きを着用したままで指定区域外へ出てはならない。
着用した白衣のボタンはきちんとかけておくこと。
白衣のポケットに手をいれない。
長い髪の毛は邪魔にならないように、実験が始まる前に必ず束ね、実験に不要なアクセサリーなどは身につけない。
口紅はピペットに付着する。さらにマニキュアは使用する試薬類に溶けることがあるので実験時は絶対に使用しないこと。
4:実験を行うにあたり
実験を行うにあたり、実験の目的を十分に理解した後で進めること。
4−1:実験ノートを作成する
実験ノートは大きさがA4版が好ましく、あらかじめ綴じられてページの順番を変えたりばらばらにできないものを用いる。
4−2:実験ノートの記載方法
一回の連続した実験の内容は、できるだけ見開きの1ページに記載する。
実験計画(目的、方法等)は見開きの左側のページに、結果のデータは右側のページに記載する。
実験ノートでは消しゴムを使わない。結果のデータや計算式は、間違い部分を消さずに二本線を引いて修正し、後日、実験中どのような間違いをしたかがわかるようにする。
@前準備
あらかじめ実験の内容を理解して実験当日までに実験計画を記載し、試薬の濃度計算を行い、使用する器具の種類、数などをすべて記載する。このとき、計算結果のみでなく、式も必ず記載しておく。
A実験中
実験ノートの実験計画部分は実験中常に参照するために開いて置いておきます。
得られた結果のデータを記載し、実験中新たに行った計算も式とともに必ず記載します。実験中に観察された様々な事象や、操作中に考えた新たな発想もメモとしてできる限り記載します。
B実験終了後
レポートを作成するために、データをまとめます。
データをパソコン(PC)へ入力してグラフ化したり、どのような結論が得られたかを自分なりに解析して、自分の実験ノートで文章化します。記載する場所は、実験操作中ではないので見開きページにこだわる必要はありませんが、後日参照するためには可能な限り見開きページに記載した方が便利です。
レポートはこの実験ノートを参照し、これをまとめるという形で自動的に作成できます。
【参考】 企業における実験ノートの意義
日本やヨーロッパ諸国の特許法では、先出願主義をとっていますが、アメリカ合衆国のみは先発明主義をとっています。先発明主義とは、同一発明について、出願が競合した場合、最先に発明したものに特許を付与するとする考え方です。
このため、アメリカに出願した特許権について、その特許が最先に発明した発明であることを証明する必要が生じる場合があります。一定の条件が備わった実験ノートは優先権を証明する証拠として認められています。特許権に関する係争が生じたとき、実験ノートを証拠として裁判所に提出し、自己の特許権の正当性を主張することは、企業に所属する研究者の義務です。
証拠として認められる条件のいくつかを挙げると、
ノートの右ページ上に日付があり、
その日の実験の終了場所に線を引き、実験者の署名がある。
実験後数日中に共同研究者以外の第三者(通常は担当する上司)が内容を確認した署名がある。
ノートは詰めて書かれており、空間がなく、後日に追記してない。
ページの余白を斜線で消してあり、一日の実験は常にページの初めから書かれている。訂正や削除は一本線で消され、訂正削除の理由と日付が書かれ、署名がある、などです。詳しくは企業に入ってから勉強すればよいですが、今は実験ノートの重要性について認識しておいてください。
【参照】実験室とパソコン(PC)について
実験者にとって、PC使用は必須です。
データ処理、データの視覚化、報告書の作成、結果のプレゼンテーションなどでPCを使用することは、学生の時より、就職した後で絶対に必要になります。
学生の時に使いこなしておく必要があります。
また、実験室内でもPCを使用した方が便利なことが多いです。
しかし、実験室内でPCを使用する時問題があります。
PCはいくら安くなったとはいえ、まだ高価格で貴重品です。
試薬を使用することが前提になっている実験室では、様々なトラブルが予想できます。
現在の市販PCは、カバーを掛けるなどの対策をしてないと、キーボードにコーヒーをこぼしても壊れますね。
硫酸と仲が良いPCはありますか?さらに揮発性があり、腐食性の強い試薬を扱う環境では、PCを持ち込まない方が良いでしょう。
実験室には様々な実験機器類がたくさんありますが、これらの機器類は実験室で使用することが前提で、対策が施されています。
ここが市販のPCと違うところです。
ここで紙製の実験ノートとの関係について考えてみましょう。
PCがあれば実験ノートは不要になると考えませんか?
いくつかの点を除けば、PCが近くにあると便利なことが多いでしょう。
このいくつかのうちの一つは高価で水分や試薬に弱いことです。
PCを試薬や溶液を扱うガラス器具などの隣に常置して使用することを考えると、筆者は実験台に置くことをためらいます。
揮発性・腐食性ガスなどが無い実験室だとしても、数歩離れた別の安全な場所に置きたいです。
とすると、実験中のいそがしい時に手元に置いて参照できる実験ノートが必要になります。
学生実験では、共同実験者もいます。
自分が注意しても、他の学生が器具を倒したり、試薬や溶液をこぼしたりしたとき、高価なPCの場合は深刻なトラブルになりかねないでしょう。
実験中はできるだけ意識を実験に集中させたいですね。
余分な気を遣う必要がない方が良いでしょう。
実験ノートとの重要な違いはまだあります。
PCのデータは後刻簡単に書き換えることができます。
ここが良いところですが、操作ミス、計算ミスなどの記録も簡単に消えてしまいます。
時には重要な生データを簡単な操作ミスで永遠に失うこともあります。
紙のデータも紛失や焼却すれば同じですが、ボタン一つの押し間違いより確率は低いでしょう。
記録の保持ということでは綴じた紙製のノートに軍配をあげたいです。
実験室でのPC使用については現在はまだ過渡期にあると考えます。
時と場合により、それぞれの実験室で考える必要があります。
学校の場合は行う実験の内容、危険性を承知している指導教員の指示に従いましょう。
5:実験の進め方
5−1:実験前
実験台の上と周囲の整理整頓を行うこと。
白衣に着替え、身支度をして椅子、持ち込み手荷物(鞄など)、身の回りを片付ける。
乾燥棚の洗浄・乾燥済みガラス器具を当番を中心に全員でかたづける。
実験台上を水拭きし、手を洗って開始を待つ。
5−2:実験操作中
実験台の上は実験に必要なもののみを危険が無いように、かつ合理的に配置する。
実験台の上は実験中常に整理整頓を行い、不要の物があってはならない。
使用するガラス器具類の傷、割れには十分注意する。
使用する試薬類は精製された物で、危険な物を含むので使用には十分注意する。
5−3:実験操作終了後
実験で生じた廃液類は指示に従って処理する。むやみに排水中に流すことは公害の元になるばかりでなく、薬品同士の反応により思わぬ事故が起こる可能性がある。
自分で使用した実験器具は、次に使用する人のためにルール通りにきれいに洗浄・乾燥する。
実験の結果発生したゴミは所定の分別をして捨てる。
6:実験時間終了後
実験終了後、班単位で後始末を行う。
実験台の引き出しに私物を残さず片付ける。
実験台の上を水拭きし、使用した椅子の脚のゴミを雑巾で拭い、実験台の上に乗せる。
手洗いをする。
掃除は当番制とし、指定の方法で掃除を行う。
7:薬品を取り扱うときの一般的な注意 化学の実験に用いられる薬品はすべて有毒であると考えて慎重に取り扱わなくてはならない。しかし、基本的な注意を守れば危険はないので薬品を恐れることなく実験を行って欲しい。
@薬品を口に入れないこと。多くの物質は口にさえ入れなければ大きな危険は無い。揮発性の有害物は指示に従ってドラフトなどで扱うこと。
Aにおいを嗅ぐときは、容器から直接嗅がず、手であおいで嗅ぐこと。このとき空気を深く吸い込まないように注意する。
B薬品が皮膚に付いたらすぐに水で洗うこと。知らぬ間に付いていることがあるから、一つの操作が終わったらそのたびに手を洗う習慣をつけておくと良い。また、実験終了後に実験室から出るときは手を洗うことを忘れずに。
C人体で最も弱いところは目である。他の場所に付いてもたいしたことのない薬品でも、目に入ると失明のおそれがある。少しでも危険が感じられるときは必ず保護眼鏡(ゴーグル)をかける。
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